親が住む実家を久しぶりに訪れたら、玄関には新聞や段ボール、部屋にはモノが山積みに。
「えっ…これって、もしかしてゴミ屋敷？」とショックを受けた方も多いかもしれません。
とはいえ、「勝手に捨てるのは気が引ける」「どう切り出せばいいかわからない」「業者に頼むのもためらわれる」
──そんな思いで、モヤモヤしながら時間だけが過ぎてしまうケースも少なくありません。
この記事では、実家がゴミ屋敷化する背景から、片づけの手順、親との向き合い方、放置によるリスクまで、現実的な視点で解説します。
実家がゴミ屋敷になるよくあるケース
「なぜ実家がこんな状態に…？」
片づけようにも原因がわからず、戸惑ってしまう方も多いのではないでしょうか。
実は、ゴミ屋敷化にはいくつかの共通した背景や要因があります。
ここでは、特に多く見られる代表的なケースをご紹介します。
● 高齢による体力・判断力の低下
年齢とともに片づけが面倒になり、「あとでやろう」「いつか使うから」と先延ばししているうちに、モノがたまっていくケースが多く見られます。
● もったいない精神や過去への執着
「まだ使えるのに捨てるのはもったいない」「思い出が詰まっているから手放せない」という気持ちが強く、整理が進まなくなる傾向も。
● 社会的な孤立や心の問題
配偶者との死別、退職、近隣との関係が薄くなることなどで孤独感が深まり、「片づけよう」という意欲自体が失われていることもあります。
● 認知機能の低下（認知症初期）
「ゴミの曜日を忘れて出せない」「同じものを何度も買ってしまう」など、判断力や記憶力の低下によって生活が混乱している場合もあります。
実家のゴミ屋敷を片づける手順
すぐに「捨てよう」と動くのではなく、段階的に整理していくことが成功のポイントです。
1. 状況把握と優先順位の整理
まずは全体の状況を確認しましょう。
- ゴミの量は？（部屋の数／生活空間の有無）
- 危険なものはないか？（腐敗物・害虫・壊れた家電など）
- 片づける人員と日程は？（家族の協力や時間の確保）
特に、水回りや寝室など生活の核となる場所から優先すると、生活の立て直しがしやすくなります。
2. 親とのコミュニケーションをとる
親世代にとっては「生活の一部」であるモノを勝手に処分するのは、信頼を損ねる原因にもなります。
「汚い」「ひどい」などの否定的な言葉ではなく、以下のような言い回しが効果的です。
- 「〇〇の空間が片づくと、もっと快適になると思うよ」
- 「一緒に使いやすく整えてみない？」
共感と尊重の姿勢が、片づけへの協力を引き出す鍵です。
3. 少しずつ、段階的に進める
一気に全部を片づけようとすると、親も子も疲弊してしまいます。
- まずは玄関・トイレ・風呂・寝室など、生活に直結する場所から着手
- 1日1時間、1カ所だけなど小さなゴールを設定
- 写真に撮ってビフォーアフターを記録するとモチベーション維持にも◎
ゴミ屋敷を片付ける手順についてはこちらの記事で紹介しています。
片づけでつまずきやすいポイントと対処法
● 「捨てられない」「後で使うかも」と言われる
親の「もったいない」は、単なる執着ではなく安心感の裏返しであることも。
そんなときは、「保管ボックス」「一時置き」などを用意して、「すぐには捨てない」形をとるのも一案です。
● 家族間で意見が合わない
兄弟姉妹間で役割や考え方にズレがあると、片づけが進みにくくなります。
「〇日から始める」「業者を使うか否か」など、できるだけ事前にLINEやZoomなどで打ち合わせしておくのが理想です。
● 作業中に体調を崩す
古いゴミはホコリやカビ、害虫などが潜んでいることも。
マスク・手袋・軍手・ゴーグルなどを用意し、夏場は熱中症対策も忘れずに。
実家のゴミ屋敷を放置するリスク
「忙しいし、今すぐ片づけなくても大丈夫」と思っていませんか？
しかし、実家がゴミ屋敷化してしまうと、見て見ぬふりをする間に大きなトラブルへ発展する可能性があります。
ここでは、放置してしまった場合に起こり得る深刻なリスクを紹介します。
● ご近所トラブル
悪臭や害虫・ネズミなどによって、近隣住民との関係が悪化するリスクがあります。
最悪の場合、行政からの指導や強制措置も。
● 親自身の健康リスク
足の踏み場がない環境は、転倒・火災・熱中症などの事故を引き起こす可能性があります。
健康寿命を縮めないためにも、安心できる環境を作ることが必要です。
● 相続・売却時に問題が起きる
ゴミ屋敷のままだと、不動産の価値が下がったり、売却に手間や費用がかかったりすることも。
将来的な資産整理を考えても、早めの対処が得策です。
一人で抱えず、業者に頼るのも現実的な選択肢
実家のゴミ屋敷を家族だけで片づけようとすると、時間的・体力的にも限界があります。
とくに、以下のようなケースでは専門の片づけ業者に依頼するのが現実的です。
- 遠方に住んでいて頻繁に通えない
- 親の反発が強くて作業が進まない
- 衛生状態が悪く、害虫や腐敗臭がひどい
- 量が多すぎて、どこから手をつけていいかわからない
プロの業者は、仕分け・搬出・清掃までワンストップで対応してくれるため、短期間で安全かつ確実に片づけられます。
費用は必要ですが、「自分たちだけではどうにもならない」と感じたときの有効な選択肢として検討してみてください。
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まとめ｜親と実家を守るために、今、できる一歩から
実家のゴミ屋敷化は、「親の問題」として見て見ぬふりをしていても、いずれ自分に降りかかってくるテーマです。
- 片づけ＝“捨てる”ではなく“整える”という視点を持つ
- 親の思いに配慮しながら、無理のない範囲で着手する
- 放置すればするほど、リスクも手間も膨らむ
まずは「一緒に少しだけ片づけてみようか」と声をかけるところから。
無理せず、でも確実に、親と自分の未来のための一歩を踏み出しましょう。
