オフィスの引っ越しをする際には、原状回復工事が必要です。
しかし、原状回復工事についてイメージが浮かばず、工事内容や進行の流れがわからない方も多いかもしれません。
そこで今回は、原状回復工事の基本的な内容や、進行手順について解説します。
料金相場や、費用を抑える方法についても紹介していますので、原状回復工事を依頼したい人はぜひ参考にしてください。
原状回復工事とは?
原状回復工事とは、賃貸物件を退去する際に、物件を入居時の状態に戻すために行う工事を指します。
退去後、オーナーが新しい店舗や会社を迎えるため、建物内の修繕工事を行います。
工事は賃貸契約に基づいて行われ、通常借主が費用を負担します。
具体的な工事内容には、以下のとおりです。
- 壁紙の張り替え
- 床の修繕
- 照明器具の修繕・交換
- 設備の修理
原状回復工事をしっかりと行えば、物件の資産価値を維持ができ、次の入居者にとって快適な環境を整えられます。
賃貸契約には、詳細な工事範囲が定められているため、契約前に詳細を確認しておくと、のちのトラブルを防げます。
原状回復工事の範囲と工事内容
原状回復工事の範囲と内容は、賃貸契約書に記載されている内容に基づいて決まります。
一般的には、日常的な使用による通常の損耗を修繕するのが目的です。
例えば、壁紙の張り替え、フローリングや畳の修繕などは、経年劣化に含まれるため、借主は負担しなくてよい場合が多いです。
ただし、たばこのヤニ汚れやペットによる損傷など、通常の生活範囲をこえる損耗については、借主が負担しなければなりません。
契約書の特約によっては、さらに詳細な修繕項目もあるため、しっかり確認しておくことが重要です。
原状回復工事の相場
原状回復工事の費用は、物件の広さや修繕内容により異なりますが、一般的な相場は以下のとおりです。
規模 | 1坪あたりの費用相場 |
1~20坪 | 2万円~ |
20~50坪 | 5万円~ |
50坪以上 | 10万円~ |
例えば、30平方メートルの1Kの物件の場合、30,000円から90,000円程度が目安です。
工事内容が高度になる場合や、高級物件の場合は、さらに高額になる可能性もあります。
費用を正確に把握するためにも、複数の業者から見積もりを取り、比較検討するとよいでしょう。
原状回復工事の費用を抑えるポイント
原状回復工事は、予想以上に高額になることがあります。
しかし、交渉や工夫によって費用を抑えられる可能性もあります。
ここでは、オフィス退去費用の削減方法として、3つのポイントを紹介します。
- 居抜き交渉をする
- 自分で見積もりを取ってみる
- 不用品の廃棄は自社で行う
居抜き交渉
オフィス退去時に原状回復費用を抑える方法の一つが、「居抜き交渉」です。
居抜き交渉とは、退去時に設備や内装をそのままにしておくことで、次のテナントが設備や家具などを利用できる方法です。
家具や家電などもそのまま置いていけるため、引っ越し費用や処分費用を抑えられる点がメリットです。
ただし、居抜きで入居したい人が見つからない場合は、通常通り原状回復工事を行う必要があります。
居抜きを考えているなら、早めに移転を管理会社に相談しておくとよいでしょう。
原状回復工事の見積査定
原状回復工事は、ビル指定の会社が施工することがほとんどです。
その場合、ビルの維持や管理をするビルオーナー側にはメリットがありますが、借主側は金額が適正か判断ができない点がデメリットです。
もし金額に悩んだらオーナーに確認の上、自身で専門業者へ見積もりを取ってみましょう。
適正な価格が分かるため、交渉もしやすくなります。
廃棄物処分をなるべく自社で行う
引っ越しの際、椅子や机といった家具のオフィス用品の処分費用は、結構な出費となります。
特に事業用のゴミは、一般的な粗大ごみとして処分できないので、注意が必要です。
引っ越し作業や原状回復工事の前にできるだけキレイに片付けておくことで、コストダウンができます。
不要な什器はオフィスの中古リサイクル会社に依頼して買い取ってもらい、冷蔵庫や電子レンジなどは再利用することも可能です。
原状回復工事の流れ
原状回復工事は、基本的に以下の流れで進みます。
- 確認
- 見積もり
- 発注
- 着工
詳しく見ていきましょう。
原状回復が必要な範囲を確認
まず賃貸契約書をもとに、原状回復が必要な範囲を確認します。
具体的には、現状の物件の状態を写真で記録し、修繕箇所を特定します。
貸主とのトラブルを未然に防ぎ、原状回復費用を算出します。
業者へ連絡して見積もりを取る
提携している原状回復業者に連絡し、見積もりを依頼します。
見積書が届いたら、合計金額だけでなく、内訳も確認しておきましょう。
不明瞭な点は確認しておきます。
業者へ原状回復工事の発注
見積もり内容を確認し、納得したら正式に業者へ依頼がいきます。
この際、工事範囲や費用について再確認し、契約書を取り交わしておきましょう。
契約内容を明確にすることで、後々のトラブルを防ぐことができます。
原状回復工事の着工
工事期間は、小規模であれば1週間から10日程度、大規模だと1か月程度が目安です。
また、設備の多さによっても工事期間が異なります。
見積りに目安の工事期間が記載されているので、確認しておくようにしましょう。
工事中は、進捗状況を業者と密に連絡を取り合い、問題が発生した場合には迅速に対応できるようにします。
工事完了後には、物件の状態を確認し、契約通りに修繕が行われているかをチェックします。
原状回復工事のトラブルを避けるためのチェックポイント
トラブルを避けるためには、契約内容や工事の詳細を事前に確認することが重要です。
賃貸契約内容をしっかりと確認する
賃貸契約書には、原状回復の範囲や、特約が詳細に記載されています。
特約には、喫煙やペット飼育による汚損などが含まれることがあります。
契約書を詳細に確認し、特約について理解しておくと、余計な出費を避けられます。
疑問点があれば、早めに貸主や管理会社に確認しましょう。
原状回復工事が必要な範囲を事前に確認する
退去前に、物件の状態を詳細に確認し、必要な修繕箇所を把握しておきましょう。
この際、写真を撮って記録を残しておくとよいです。
貸主や管理会社と一緒に確認することで、工事範囲についての認識を共有し、後々のトラブルを防ぐことができます。
見積書の内容を精査
見積書を受け取ったら、項目ごとに費用を確認し、内容を精査します。
余計な工事が行われていないか、不明瞭な点がないなどをチェックし、必要に応じて業者に説明を求めましょう。
詳細な確認を行うことで、工事に必要な費用を抑えられます。
工程に無理がないか確認
工事のスケジュールが現実的であるかを確認します。
無理な日程で工事を進めると、作業の質が低下する可能性があります。
業者としっかり話し合い、余裕を持ったスケジュールで進行することが大切です。
保証金を費用に充てる
契約時に預けた保証金は、原状回復費用に充てることができます。保証金の範囲内であれば、追加の費用負担を抑えることが可能です。
事前に保証金の使用方法を確認し、予算に組み込んでおくことで、余計な出費を防ぎましょう。
まとめ
原状回復工事は、賃貸物件を退去する際に必要な手続きです。
賃貸契約書の内容をしっかりと確認し、必要な工事のみ行うようにしましょう。
トラブルを防ぎ、費用を抑えることができます。
原状回復工事が計画的に進められれば、次の入居者に良い状態で引き渡せ、気持ちよく退去できるでしょう。